Journal of UOEH
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肝細胞と血清遺伝因子
-とくにハプトグロビン・α1-アンチトリプシン・Gc-グロブリン表現型について-
田岡 賢雄遠藤 高由
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1980 年 2 巻 1 号 p. 85-97

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抄録

近年肝疾患の発症, 遷延・慢性化・発癌などと血清遺伝因子との関係が注目されてきており, とくにハプトグロビン, α1-アンチトリブシンならびにGc-グロプリンの表現型が問題にされている. 著者らは腹腔鏡・肝生検にて診断を確認しえた230例の肝疾患例(急性肝炎37例・慢性肝炎63例・閉塞性黄疸10例・肝硬変63例・中毒症肝障害13例・脂肪肝18例・原発性肝癌(ヘパトーマ)4例・転移性肝癌10例)と38例の健常例についてこれらの血清遺伝因子の血清レベルと表現型ならびに変異型について検討してみた. その結果, ハプトグロビンについては1-1型と0-0型に明らかに肝疾患の発症例が多く, 0-0型ではHBs抗原の頻度も高率であった. α1-アンチトリブシンではPi表現型についてはMM型以外の変異型(たとえばMF型やMS型)に明らかに肝疾患の合併例が多く, PiM表現型についではM1M1以外の表現型(たとえばM1M2やM2M2)に肝疾患の発例が多いようである. Gc-グロリンについては, ウイルス性肝疾患には1因子(1-1型と2-1型)をもつものが多く, これに比してアルコール性肝障害・中毒性肝障害ならびに脂肪肝の症例では2因子(2-1型と2-2型)をもつものが多かった.

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© 1980 産業医科大学
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