抄録
実験用純系ビーグル犬, 白色レグホンのOS株およびBUFラットは, 高頻度に自然発生の自己免疫性甲状腺炎を認める特殊な株の動物で, ヒトの橋本病のモデル動物と見做されている. これらのモデル動物にみられる甲状線炎は, 各種抗原の投与によりモルモット, イヌ, ラット, マウス, トリ, サルなどに実験的に惹起された自己免疫性甲状腺炎とともに, ヒトの橋本病あるいは自己免疫疾患の病因および病態生理の解明に欠くことのできないものである. 本稿では上記3種類の動物にみられる自然発生の自己免疫疾患のあらましをのべ, ヒトの橋本病および実験的に惹起される甲状腺炎との異同につき考察を加えた.