抄録
発癌化合物4-nitroquinoline 1-oxideによって誘発された呼吸欠損変異酵母のミトコンドリアDNAの変化について検討した. 変異株のミトコンドリアDNAの浮遊密度および融解温度はともに正常酵母の場合より低下しており, 融解曲線も単純であり, 再生率(renaturation rate)は正常酵母のそれに対してかなり高い値を示した. 化学分析による塩基組成の測定では, 変異株ミトコンドリアDNAのGC含景が4NQOの作用時間と相関して低下し, 最も低いものは正常酵母の約1/4であった.