抄録
筋運動が抗利尿ホルモン分泌に影響を与えていることはよく知られている. われわれは麻酔し, 半側除脳を行ったネコを用いて, 視床下部視索上核(SON)ニューロンの神経活動に及ぼす筋受容器の影響を調べた. 腓腹筋筋紡錘のGI線維の電気刺激はSONニューロンの活動に影響を与えなかったが, GIIIおよびIV線維の電気刺激は80-100msecの潜時で興奮とそれに引き続く長い抑制を引き起こした. 化学刺激のために腓腹筋動脈に注入したNaCl, KCl, bradykininは, SONニューロンを興奮させた. これらの結果から, 求心性筋入力のうち, 細い線維を介する入力が運動の際, 血中の抗利尿ホルモンを増加させる役割を果たしていることが推論された.