Journal of UOEH
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実験用および野性ラットにおけるM6p/Igf2r遺伝子の多型性
晏 穎戸高 奈苗山村 香織平野 英保後藤 貞夫加藤 貴彦東 監荒井 秋晴村田 義隆東 胤昭R. L. ジャートル
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1999 年 21 巻 3 号 p. 199-208

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抄録
発癌耐性・近交系DRHラットは, 呑竜ラットより3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼン(3'-Me-DAB)存在下で選別・樹立された. 20代にも及ぶ近交交配の間3'-Me-DABに暴露されていたにもかかわらず正常に発育し, 1年以上飼育しても自然発生腫瘍は認められない. TGF-β1の活性化に関与するマンノース6-リン酸/インスリン様成長因子Ⅱ受容体(M6p/Igf2r)遺伝子の多型性を調べたところ, エクソン48においてDRHラットはCCC(プロリン)型を示し, 呑竜ラットではGCC(アラニン)型であった. 呑竜ラットは閉鎖的集団(クローズド・コロニー)であり, それより単離されたDRHにおける多型性の起源を調べるために, さらに多数の呑竜ラットを含む実験用ラットや野性ラットを用いてM6p/Igf2r遺伝子の多型性を調べた. これらのラットに共通してM6p/Igf2r遺伝子のエクソン48の同一部位に多型性が認められたので, この部位が化学発癌物質に対するホットスポットでない限りDRHにおける多型性は3'-Me-DABによるものではないと考えられる.
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© 1999 産業医科大学
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