Journal of UOEH
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全身性温熱ストレス中のhead-up tiltに対する心血管系応答
山崎 文夫門司 幸一曽我部 靖博曽根 涼子
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2000 年 22 巻 2 号 p. 147-158

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抄録

急性起立ストレス中, 心拍出量(CO)と総末梢血管抵抗(TPR)の神経性調節は動脈血圧を維持するために重要な役割を果たす. 起立ストレスに対するCOとTPRの応答に及ぼす温熱負荷の影響を検討するために, 10名の健康な男性が正常体温状態の後に温水あるいは冷水環流スーツを用いた全身性温熱ストレスに曝露され, 各温熱条件下で70°の傾斜のhead-up tilt(HUT)を5分間行った. 平均血圧(MAP)はHUTによって正常体温および冷却中には3%上昇し, 一方加温中には4%低下した. COはいずれの温熱条件下でもHUTによって16-17%減少した. HUTに伴うTPRの増加は冷却中に促進し加温中に抑制された. HUTに伴う皮膚血流量の減少は冷却中よりも加温中に大きかった. これらの結果は, 高体温のヒトにおける起立性ストレス時の動脈血圧の低下がCOの変化よりもむしろTPRの増加の抑制に起因することを示唆している. HUT中のTPRの変化に対する皮膚血管収縮の貢献度は加温中に増大し, 冷却中に減少することが示唆された.

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© 2000 産業医科大学
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