Journal of UOEH
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水平面および上半球正中面の音源定位に及ぼす刺激強度の影響
井上 仁郎
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2001 年 23 巻 2 号 p. 127-138

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抄録

ヘッドホンによる方向感検査では, 音の刺激強度が定位に影響を及ぼすが, スピーカによる自由音場の音源定位に刺激強度がどのように影響するかあまり報告されていない. 本研究では、正常聴力者だけでなく, 聴力障害者の音源定位検査, 補聴器のフィッティング等の基礎データを得るために, 水平面および上半球正中面の音源定位に及ぼす刺激強度の影響を, 18-19歳の正常聴力成人10名で, 広帯域ノイズおよび正弦波を用いて検討した. その結果, 水平面と上半球正中面における, 刺激強度と音源定位の関係を示すことができた. 広帯域ノイズでは, 水平面と上半球正中面において, 40-70 dB SPL (sound pressure level) で平均正答率が最大だった. 音圧が減少すると平均正答率は減少し, 0-20 dB SPLで平均正答率が最小になった. この最小の範囲の強度では, 刺激音は聞こえているのに, 方向の判断がほとんどできない領域であることが分かった. また, 上半球正中面での純音刺激では刺激強度にかかわらず低い正答率であった.

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© 2001 産業医科大学
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