Journal of UOEH
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内分泌撹乱化学物質の胸腺細胞に及ぼす影響
山下 優毅杉浦 勉吉田 安宏黒田 悦史
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2003 年 25 巻 2 号 p. 161-170

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抄録
以前の論文で, 我々は4,4'-isopropylidine diphenol(Bisphenol A: BPA), bis(2-ethylhexyl)phthalate(EHP)などの内分泌撹乱化学物質(ED)がin vitroでマウスの脾細胞を刺激し, 増殖反応やサイトカイン産生を増強することを報告した. 今回, EDのマウス胸腺細胞に対する作用をin vitroで解析した. BPA, EHP, diethyl stilbesterol(DES)などのEDは胸腺細胞の増殖反応を増強した. EDと共に7日間培養した胸腺細胞を回収し, 同系の脾細胞で再刺激すると, EDの非存在下で培養した胸腺細胞に比べ, 増殖反応が増強していた(同系リンパ球混合培養:Syngeneic-MLR). 反応性細胞はT細胞であり, このT細胞は抗原提示細胞上の主要組織適合抗原遺伝子複合体(MHC)のクラスⅡ抗原を認識して反応していた. EDと共に培養した胸腺細胞は, インターロイキン-3, インターロイキン-4, インターフェロン-γ産生も増強されていた. 以上の事から, EDは胸腺細胞の機能を修飾する活性を有していることが明らかにされた.
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© 2003 産業医科大学
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