Journal of UOEH
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若齢者と高齢者における中心血液量減少ストレス中の心拍の圧反射性調節
山崎 文夫筒井 由香遠藤 豊佐川 寿栄子白木 啓三
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2004 年 26 巻 2 号 p. 179-192

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抄録

本研究の目的は, 若齢者および高齢者における下半身陰圧(LBNP)耐性の低下が心拍の動脈圧反射感受性の低下と関係するか否かを検討することである. 被検者は健康な24名の高齢者(67.5±0.9歳)と24名の若齢者(22.4±0.4歳)である. 仰臥位で0mmHgから-60mmHgまで段階的にLBNPを負荷している間に, 心拍数(HR), 動脈圧, 胸部インピーダンス(Zo), 下腿周囲長を連続測定した. 心拍の動脈圧反射調節の感受性(BRS)は自発的に変動する血圧とRR間隔の関係から評価した. LBNP負荷テスト中に失神前徴候を示した者の割合は, 若齢者では37.5%であり, 高齢者では16.7%であった. いずれの年齢グループにおいても, LBNP負荷前および負荷中のHR, 動脈圧, Zo, 下腿周囲長およびRR間隔変動のスペクトルパワーは, 失神前徴候を示した者と示さなかった者の間で有意な差は見られなかった. いずれの年齢グループにおいても, LBNP負荷前のBRSは, 失神前徴候を示した者の方がそれを示さなかった者より低い傾向を示し, 若齢者における差は有意であった. BRSは, LBNPによって若齢者では有意に減少したが, 高齢者では変化しなかった. これらの結果は, 起立に伴う中心血液量の減少刺激に対する耐性が加齢によって低下しないこと, また迷走神経性BRSの低下が若齢および高齢男性のLBNP耐性の低下に関係していることを示唆している.

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© 2004 産業医科大学
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