Journal of UOEH
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メタロチオネインノックアウトマウスにおけるマクロファージ機能の異常
杉浦 勉黒田 悦史山下 優毅
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2004 年 26 巻 2 号 p. 193-205

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抄録

メタロチオネイン(MT)はシステイン残基に富んだ低分子量のタンパク質で, 重金属, 化学物質, 活性酸素, 放射線などの種々のストレスにより誘導され, 重金属の代謝, 解毒, 活性酸素の除去などに関与している. MTはまた, 免疫応答にも重要な役割を果していることが知られている. この研究で我々は, 免疫応答におけるMTの役割を明らかにするために, MTノックアウト(KO)マウスの免疫機能をマクロファージの機能を中心にin vitroで解析した. MT正常(WT)マウスに比べ, MT-KOマウスマクロファージは, 異物貪食能, 抗原提示能が低下していた. また, IL-1α, IL-6, IL-10, IL-12など, サイトカイン産生能, CD80, CD86, MHCクラスⅡ抗原の発現もMT-KOマウスマクロファージでは低下していた. しかし, T細胞, B細胞の機能には明らかな変化は見られなかった. これらの事実はMTが免疫応答, 特に, マクロファージの機能の調節に重要な役割を果していることを示している.

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© 2004 産業医科大学
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