2004 年 26 巻 2 号 p. 207-214
本研究の目的は40,638人(男性34,491人, 女性6,147人)を管轄する国内の某企業内の健康管理センター(Xセンター)へ精神健康相談に訪れた労働者について, 相談に関する性差を明らかにすることである. 1996年から2001年までに940人(男性790人, 女性150人)の労働者がXセンターヘ初めて精神健康相談に訪れた. 初回相談時に入力されたデータベースを用いて, 年齢(3歳以内)と職種をペアリングにてマッチングし, 男女それぞれ58人を比較検討した. その結果, 職務遂行障害には性差がなかったが, 相談経路で性差が認められた. また, 女性労働者は男性労働者よりも職務に関連した訴えをする者が少ない傾向があった. 職務に関連した訴えでは, 人間関係, 特に上司との人間関係の訴えが両性とも多く, その内容には性差があった.