抄録
症例は60歳男性. 3年前より左頬部の感覚低下を伴う三叉神経痛を自覚し保存的加療にて改善しないため当科を受診した. MRIにて左小脳橋角部から三叉神経にかけて類表皮腫を認めた. Fast spin echo (FSE)にhalf-Fourier法を応用した3D-fast advanced spin echo (FASE)にて三叉神経と上小脳動脈, 腫瘍の関係を術前に評価し仮想術野を作成した. 術中所見でも三叉神経のroot entry zoneを上小脳動脈が圧迫しており減圧した. 症状は消失し経過良好であった. 強いT2強調画像であるFASE画像では類表皮腫は髄液と同様の信号を呈し神経と血管が陰性像として高解像度で描出できる利点があり, 類表皮腫の術前評価に非常に有用であったので報告した.