Journal of UOEH
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26 巻, 3 号
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  • 嚴本 哲矢, 浦崎 永一郎, 横田 晃
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 3 号 p. 267-285
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    大脳局在性病変を持つ患者における短潜時体性感覚誘発電位(SSEPs)の異常が, 刺激頻度変化により増強されるか否かを調べるため, 10名の健常者と12名の大脳皮質に病変を持つ患者において, 正中神経刺激を1.3〜18.3 Hzまで変化させてSSEPsを記録した. 健常者では, 刺激頻度増加に伴いN20成分の振幅は比較的保たれるものの, frontal P22-N30および parietal P27 成分の振幅は減少した. 前頭部病変を持つ患者では前頭部波形成分の消失, 中心溝近傍に病変を持つ患者ではN20の著明な振幅減少を認めた. 頭頂部病変を持つ患者には刺激頻度増加に伴い, 逆に各成分が増大したものもあり, 感覚野における抑制系が障害されていることが示唆され, 刺激頻度変化は, 大脳皮質病変患者における感覚入力調節系の変化を知る上で, 有用な手段であった.
  • 亀崎 文彦, 太崎 博美, 山中 あすか, 守下 敢, 平川 乃理子, 山下 和仁, 岡崎 昌博, 中島 康秀, 中西 宣文, 荻野 均
    原稿種別: 症例報告
    2004 年 26 巻 3 号 p. 287-294
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    強い労作性呼吸困難を訴え, 抗リン脂質抗体症候群による重症肺動脈血栓塞栓性肺高血圧症と診断された19歳男性に対する診断, 内科的治療と外科的治療について, 若干の考察を加えて報告する. 14歳時, 右深部静脈血栓の診断を受けて半年間ワーファリン内服治療を受けたが不変のため放置していた. 平成13年12月から労作時呼吸困難自覚, 平成14年9月当科紹介となった. 現症, 心臓エコー・心臓カテーテル・肺血流シンチ検査で, 肺血栓塞栓による重症肺高血圧, エコー・静脈造影検査で右下肢深部静脈血栓と診断した. 生化学・凝固系検査で, beta2-glycoproteinⅠdependent anticardiolipin antibodyやlupus anticoagulant上昇を確認した. 内服治療開始するも軽快せず, 慢性中枢部血栓であり, 肺動脈血栓内膜摘除術を施行し, 術後, 著明な血行動態の改善を得た. 本例は, 若年発症の抗リン脂質抗体症候群の一例で, 早期治療の必要性と内膜摘除の良い適応であった点から重要な症例と考え報告した.
  • 木下 良正, 太田 浩嗣, 横田 晃
    原稿種別: 症例報告
    2004 年 26 巻 3 号 p. 295-301
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性. 3年前より左頬部の感覚低下を伴う三叉神経痛を自覚し保存的加療にて改善しないため当科を受診した. MRIにて左小脳橋角部から三叉神経にかけて類表皮腫を認めた. Fast spin echo (FSE)にhalf-Fourier法を応用した3D-fast advanced spin echo (FASE)にて三叉神経と上小脳動脈, 腫瘍の関係を術前に評価し仮想術野を作成した. 術中所見でも三叉神経のroot entry zoneを上小脳動脈が圧迫しており減圧した. 症状は消失し経過良好であった. 強いT2強調画像であるFASE画像では類表皮腫は髄液と同様の信号を呈し神経と血管が陰性像として高解像度で描出できる利点があり, 類表皮腫の術前評価に非常に有用であったので報告した.
  • 浦崎 永一郎, 横田 晃, 赤松 直樹, 辻 貞俊
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 3 号 p. 303-314
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    薬剤抵抗性の側頭葉てんかんに対する外科的治療として, 我々が行っているTailored temporal lobectomyについて報告した. 手術を施行した側頭葉てんかんは30例で頭蓋内電極の設置は15例に必要であった. 硬膜下電極設置にあたっては電極の大きさと設置する部位を考慮した正確な切開線をデザインする必要があるがTaylor法による頭皮上へのSylvian line, Rolandic lineの描出は開頭部位の決定に有用である. 外側側頭葉の必要最小限の摘出による下角への到達法や, 新たに開発した海馬表面からの皮質脳波記録用の針付きリング電極の紹介を含めて, 基本手技と工夫について述べた. 側頭葉てんかんの中で内側型は23例で, その内術後1年以上(平均44ヶ月)を経過した20例の手術成績は発作消失(Engel分類classⅠ)が18例(90%), 発作頻度の有意な減少(class Ⅲ)が2例(10%)であった. 現時点での成績は良好だが, 手術の長期効果について今後も観察を続ける必要がある.
  • 内田 和彦, 藤崎 丈詞, 八谷 百合子, 吉川 里江, 織田 進, 森 晃爾, 大貝 晴俊
    原稿種別: 短報
    2004 年 26 巻 3 号 p. 315-325
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    VDT作業による健康影響や疲労を評価するためには, 被験者ごとのVDT作業量を把握しておく必要がある. 今回, あらかじめPersonal Computer(PC)に取り込んでおいた文章を入力させることで, 入力作業量や入力誤り回数などを測定できるソフトを開発し試用した. 実験は, 一定の環境下で4名の被験者に本ソフトを用いたVDT作業を行わせた. VDT作業は, 30分間連続の入力作業を2回, 10分間の休止を挟んで行わせた. その結果, 1分間当りの平均入力回数は, 最初の30分間が133.1回/分, 休止を挟んだ2回目が129.1回/分であり, また入力誤り回数(正誤率)はそれぞれ11.4回/分(8.6%), 13.7回/分(10.6%)であった. 本ソフトを利用することで, 簡便にVDT入力作業量や入力誤り回数を把握できることが確認された. また今回のVDT作業に伴い, 精神的ストレスの鋭敏な指標である表面皮膚温が低下することが認められたので併せて報告した.
  • 石田尾 徹, 石松 維世, 保利 一
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 3 号 p. 327-335
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    労働現場で使用される有機溶剤の大部分は混合有機溶剤である. 有機溶剤はそれぞれ蒸気圧や極性が異なるため, 混合された場合, その液組成と蒸気組成は一般に異なる. 作業現場において使用される混合有機溶剤が蒸発してどのように環境気中に分布するのかを知ることは労働衛生管理上重要であり, そのためには各成分の平衡蒸気濃度を知ることが必要である. そこで, グループ溶液モデルの一つであるUNIFAC (Universal Quasichemical Functional Group Activity Coefficient)式を用いて混合有機溶剤の液組成から蒸気組成を推算する方法について検討した. まず, UNIFAC式のグループ間相互作用パラメータの値を有機溶剤中毒予防規則に定められている第1種, 第2種有機溶剤について整理した. また, 2〜4成分が含まれている市販シンナーの気液平衡関係について, 文献値と推算値とを比較した. これらの結果より, 使用する溶剤の成分および組成から種々の混合有機溶剤の平衡蒸気濃度を推定できることが示唆された.
  • 欅田 尚樹, 中島 民治, 菊田 彰夫, 川本 俊弘, 嵐谷 奎一
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 3 号 p. 337-348
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    医学教育における系統解剖実習においては, ホルムアルデヒドに高濃度で曝露される可能性がある. 解剖学実習における学生および教職員の安全性評価のために, 系統解剖学実習時に環境中濃度測定と自覚症状についてのアンケート調査を実施し, 解剖学実習の環境改善および防備体制などの充実に繋げる基礎データを蓄積することを目的とした. 濃度評価は作業環境測定に準じ, 2,4-dinitrophenylhydrazine(DNPH)含浸シリカゲルカラムに気中ホルムアルデヒドを捕集し, アセトニトリルで溶出後, 高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分離・定量を行った. 解剖実習開始前のホルムアルデヒド濃度の平均値は20〜93ppbであったが, 実習開始後は実習の進展に伴い気中濃度は増加し最高時には1012〜1380ppbを示した. 自覚症状調査においては, 「喉が乾燥する」, 「目がチカチカする」, 「目がかゆい」, 「気分が悪い」, 「疲れている」などにおいて, 普段に比べ解剖学実習室内において有意に高い訴えを認めた.
  • 谷口 初美, 福田 和正, 王 岩, 樋上 光雄, 山内 和紀, 市原 剛志, 水野 康平, 石松 維世, 世良 暢之, 濱崎 光宏, 高橋 ...
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 3 号 p. 349-367
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    廃棄物処分場や不法投棄現場においてガス発生が多発している. 硫化水素ガス発生予測の基礎となる土壌細菌叢の動態を量的, 質的に評価するための遺伝子工学的検査法を構築することを目的に, 従来の染色法, 培養法による検証と共に, 実験手法の確立を行った. 全菌数測定にreal time PCR法を導入し, その有用性を明らかにした. Direct PCRにより増幅した16S rRNA遺伝子の塩基配列決定により, 菌種の同定を行った. 硫化水素ガス発生に関与するイオウの酸化または還元菌群の頻度を調べた結果, 復旧作業中の不法投棄現場では, 深層部の土壌で, 無芽胞硫酸還元菌とイオウ酸化細菌群が高頻度に同程度検出された. 埋立廃棄物処分場では, 深層部に有芽胞硫酸還元菌やClostridium属菌が多く検出され, イオウ酸化細菌群はほとんど検出されなかった. 硫酸還元菌については嫌気培養法により同様の結果を得た. 理化学検査の結果, 硫酸イオン濃度は不法投棄現場では深層部に, 埋立処分場では表層部に高かった. 廃棄物処分場や不法投棄現場では硫化水素ガス発生の潜在的危険性が示唆され, 遺伝子工学的検査システムが土壌の微生物叢評価および処分場のガス発生予知に有用であると考えられる.
  • 近藤 充輔
    原稿種別: 論説
    2004 年 26 巻 3 号 p. 369-379
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)は, 現在多くの企業や事業場において導入されているが, 導入の検討段階にある事業場や当面導入する予定のない事業場も少なくない. また, OSHMSを実施している事業場においても, 衛生・健康面に対する取組みは弱い. 本報では, OSHMSが我が国に導入された経緯とOSHMSの基本的な進め方について概説し, OSHMSが多くの企業に普及し実効ある成果をあげるために, 検討すべき課題と今後の展望について述べる. ここで示す課題は, リスクアセスメント, 法体系の整備, システム監査, 安全衛生の個人管理, 低濃度曝露影響の評価, 適正配置システム, 人材の養成, 支援体制の整備, 中小規模事業場への対応である.
  • 吉川 里江, 藤﨑 丈詞, 井出 宏, 内田 和彦, 日野 義之, 織田 進, 森 晃爾
    原稿種別: 報告
    2004 年 26 巻 3 号 p. 381-390
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    我々は, 産業医実務研修センターの短期研修カリキュラムを受講した卒業生医師19名を対象として受講前後にアンケート調査を行い, カリキュラムが受講者の産業医活動に対する意識に与える影響について評価した. その結果, 研修カリキュラムは, 産業保健活動に関する意識を肯定的に変えることで, 産業医養成に貢献していることが示唆された. 特に, 臨床医としての経験を生かした産業保健活動が出来るという見通しが, 産業医活動への意欲を高める一因になっていると考えられた. 一方で, 企業での産業医の役割に関する理解や産業医として適切な役割を果たすことに対する自信は, 肯定的に変化していたものの, 受講終了時にも十分とは言えなかった. 今後は研修カリキュラムの中で, 受講者の専門性を生かした産業医活動について考える機会をつくると共に, 企業組織や企業活動に関する講義や, 企業の中の活動を想定したより実践的研修を工夫する必要があると思われた.
  • 室屋 和子, 佐藤 一美, 出口 由美, 竹山 ゆみ子, 正野 逸子, 金山 正子
    原稿種別: 報告
    2004 年 26 巻 3 号 p. 391-403
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    高齢者擬似体験の教育効果と今後の課題について示唆を得る目的で, 学生の対象理解と援助者の役割に関する学びを自由記述レポート(4800字以内)から分析した. その結果, 対象理解に関する学びとして「加齢に伴う身体的変化の特徴」「身体的変化によりもたらされる日常生活動作への影響」「生活行動によってもたらされる身体・健康への影響」「生活行動によって生じる心理的影響」「生活行動によって生じる他者への思い」「高齢者の社会的立場・関係性の変化」が, 援助者役割に関する学びとして「援助の方法・援助者の役割」「環境の調整」が抽出された. 高齢者擬似体験は, 学生が加齢による身体的変化の理解を深め, さらに, 身体的変化に伴う日常生活行動への支障や, 身体・健康への二次的影響について考えを発展させることを可能にしていた. また, 体験を通して援助者役割や具体的な援助方法の学習へと発展可能な教育方法であることが確認された.
  • 産業医科大学
    原稿種別: 報告
    2004 年 26 巻 3 号 p. 405-407
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 産業医科大学
    原稿種別: 報告
    2004 年 26 巻 3 号 p. 409-410
    発行日: 2004/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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