2004 年 26 巻 4 号 p. 451-460
維持透析患者は人工血管などのアクセスにより心内膜炎の高い危険性があるが, 右心系心内膜炎は何らかの素因なく発生することは稀である. 症例は72歳女性, 慢性腎不全維持透折中で, ペースメーカー植え込み術を施行されていた. 透析用内シャント付近に膿瘍形成後, 発熱, 腰痛を主訴に入院した. 血液培養にてMRSA同定, 心臓エコーによる三尖弁に付着した疣贅の描出, および胸写, 肺血流シンチにて遊離塞栓によると推測される肺塞栓を認めた. CTにより, L4, L5に化膿性脊椎炎を認めた. 維持透析患者において繰り返される血管の穿刺が内シャントといえども細菌にさらされ, 感染性心内膜炎の高い危険となると考え報告した.