2004 年 26 巻 4 号 p. 461-471
本研究の目的は, 視聴覚刺激による情動誘発の有無と自律神経系に及ぼす影響を明らかにすることである. 滑稽, 不快, 恐怖および穏和の4種類のビデオを視聴覚刺激として14名の被験者に提示し, 心拍変動(HRV)スペクトル解析によって自律神経反応を分析すると4種類のビデオは異なる情動を誘発し, 各ビデオの刺激によって自律神経反応に差がみられた. 自律神経反応は, ビデオに対する被験者の認知の違いによって結果が異なった. この結果よりテレビやビデオなどの視聴覚刺激を気分転換のケアに活用する場合, 患者が認知する情動反応を観察し, 患者個人の性格や好みを考慮して, 刺激を提供することが重要であると考える.