Journal of UOEH
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走査電顕による死休胃内残渣の同定
新宅 貴久榮北 敏郎古屋 義人原 三郎井上 徳治津田 亮一
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1981 年 3 巻 1 号 p. 63-68

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抄録

死後約2ケ月経過した死体(女, 20歳前後)の胃内に, 汚赤紫色に着色したいんげん豆の果皮(さや)様の細片(約0.8×2.0cm)数個をみとめた. この胃内残渣を同定する目的で走査電顕による検査を行った. 対照として, A)末調理, B)てんぷら, C)煮ものの各いんげん豆を観察した. 検体(胃内残渣)と対照A, B, Cの微細構造を比較検討すると, 検体は調理や消化さらに腐敗などのため, かなり微細構造の変形や破壊がみとめられた. しかし, 検体の外表面(気孔)や内表面, 維管束系のらせん紋導管などの残存している構造が, 対照例のそれらとよく類似していた. したがって, 走査電顕による検索で, 死体胃内残渣は, "いんげん豆の果皮"であることが推定された.

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© 1981 産業医科大学
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