抄録
光線療法開始後に, とくに認めるべき誘因なしに典型的なDICの所見を呈した新生児症例を経験したのを契機に, bilirubinならびに光照射の血小板に与える影響について基礎的な検討を加えた. BilirubinはCaCl2とfibrinogenの存在下にゲル濾過血小板を凝集させるが, その光分解産物は凝集を惹き起こさなかった. 成人と新生児について比較した成績では, 新生児の場合に低濃度のbilirubinにより最大凝集が惹起されることと, 光線療法に対してより強い反応を示すことが見い出された. このことから光線療法は血小板の活性化を介してDICを惹き起こす可能性が示唆される.