日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
Parkinson病治療の最前線
服部 信孝
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2018 年 107 巻 4 号 p. 762-770

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抄録

Parkinson病(Parkinson's disease:PD)は進行性の神経難病であるが,唯一対症療法で症状の劇的な改善が期待される疾患でもある.一番効果が期待されるのは今もレボドパであり,次にドパミンアゴニストである.この2剤を中心に運動合併症状改善薬であるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(catechol-O-methyltransferase:COMT)阻害薬,MAO-B(monoamine oxidase B)阻害薬,アデノシンA2A受容体拮抗薬,zonisamideが開発されている.さらに,進行期PDには機器装着治療が適応となり,脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS)とlevodopa/Carbidopa intestinal gel(LCIG)の2つの選択肢がある.進行期PDの定義は難しいが,レボドパの服用回数5回以上,オフ時間が2時間以上,問題となるジスキネジアが1時間以上あれば考慮すべきである.さらに,近未来的治療方法としては,iPS細胞由来ドパミン神経細胞の移植療法や芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(aromatic L-amino acid decarboxylase(AADC):AADC)を使った遺伝子治療が登場すると考えられる.さらに,疾患修飾療法として2型糖尿病治療薬でGLP(glucagon-like peptide)-1アナログのエキセナチドが候補として報告された.新規薬剤の登場も控えており,PD治療はますます発展していくものと確信している.

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