Journal of UOEH
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3 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 後藤 貞夫, 下村 英二, 中西 明, 坂本 幸哉, 平野 英保, 東 監
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    同調培養したL細胞のチミジンブロックを解除した後, 一定時間毎に〔14C〕ウリジンと〔3H〕チミジンで, パルスラベルを行った. 続いてこれらの細胞より核小体を分離し〔14C〕と〔3H〕ラベルの取り込みを調べた結果, 特にS期の核小体では, DNAとRNAの両方の合成が観察された. これは核小体に存在するクロマチンの大部分は, 核DNAと同じく, S期に合成され, 核小体としての構造を保持したままで, 一部のクロマチンではDNAの複製, 他の部分ではRNAの転写が行われていることを示唆している.

  • ―多種イオン系―
    稲永 清敏, 栄 哲浩, 君塚 英夫
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 97-108
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜(CK-1, 0.3t)を用いて多種イオン系における膜電位と相互拡散流束の非定常状態から定常状態への過渡現象について研究した. 膜電位の興味ある過渡現象は, イオンの拡散係数と膜に対するイオンの親和性によって定性的に説明された. また, 膜電位と流束の準静的定常状態に達するまでの時間はほぼ等しいことが実験的に示された, さらに定常状態膜電位から求められた輸率は非平衡の熱力学に従って算出された輸率と等しいことが示された.
  • ―2環境条件下での酸素摂取量, 手の指皮温, 振動覚, ピンチカの生理学的変動―
    鈴木 勝己, 伊地知 正光, 松木 孝行, 関 昭夫, 田中 宏道, 緒方 甫, 野呂 影勇
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    健康成人男子21名の酸素摂取量, 手の指皮温, 振動覚, ピンチカを10℃および30℃人工気象室で測定し, 高令群と若年群とに分けて, 検討した. 1) 高令群では, 常に指皮温は若年群より高かった. 2) ピンチカは, 30℃室内で僅かに低下. 3) 125Hz振動覚は, 30℃室内で僅かに過敏になった. 4) 酸素摂取量は, 10℃室内で大きかった.
  • 狩野 徹也, 田岡 賢雄
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 117-126
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    硅石を取り扱う鋳物作業場での浮遊粉塵と堆積塵について人体の気道内に吸入され易いものとそうでないものとを簡易法により分け, さらにこれを厳密に分粒し重量分析法(リン酸法)とX線回折法により各粒子を詳細に検討した. これによれば7.07μm以下の浮遊粉塵と堆積塵中の遊離硅酸含有率は極めて近似した値をとり, さらに堆積塵を分粒し各粒径について硅酸濃度を分析したところ作業内容により多少の変動はあるが, 大粒径程硅酸含有率が大きい傾向を示すことが明らかとなった. 作業環境の状況の把握には浮遊粉塵・呼吸位置での粉塵および堆積塵中の7.07μm以下の小粒径部分とこれを含む総粉塵の遊離硅酸濃度はX線回析法により, 総粉塵中の硅酸濃度はリン酸法により分析することがぜひ必要であることが判明した.
  • 松浦 孝行
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    海上における船の航行について考える. 陸上交通における道路と交差点に対応するものとして, 海上交通にも航路と交差部がある. 航路交差部においては, 立体交差は不可能であり, また信号機も設置されていない. そのかわり安全確保のため, 航路における船と船との安全間隔, 交差部通過の際の優先順位等さまざまな規定が設けられている. 従って, 海上においても交通が輻輳してくると, 道路におけると同じように渋滞が生じ, 特に航路交差部においては, 道路交差点におけると同様, 待ち行列が生じることがある. 待ち行列があまり長くなると, 海上交通に混乱をきたすことになる. そこで, 航路交差部における待ち時間が通行隻数によってどのような値になるか, 大型計算機によるシミュレーションを行い, 海上における交通の混雑度を推測, その結果を安全確保に役立たせる.
  • 塚本 増久, 堀尾 政博
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 133-144
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Trypanosoma gambienseの実験室内での研究や系統の維持には主としてマウスが使用されているが, マウスはこの病原体に対して感受性があまりにも高く, 急性感染を起こして早く死ぬため3-4日毎に接種継代を繰返さねばならない不便さがあった. 最近新しく実験用動物として開発途中の日本産のハタネズミとハンガリア産のハタネズミを人手してこの原虫に対する感受性を調べた結果, 通常の実験に用いられる程度の原虫の接種量では, 日本産のハタネズミは容易に感染するものの慢性的経過をたどり, 19日から61日, 平均して約1ヵ月後迄生延びること, ハンガリア産のハタネズミでは個体変異の幅が広く5日から90日後に死ぬこと, 血液中からの虫体の検出は前者のほうが容易で確実であることなどが判明した. これらのデータに基づき, ハタネズミがT. gambienseの新しい宿主であることを報告したのみでなく, 新しい実験用動物として感染実験や医学教育上極めて有望な材料であることなどについても論議した.
  • 白幡 聡, 野尻 外士雄, 椎木 みどり, 中村 祐子
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 145-154
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    光線療法開始後に, とくに認めるべき誘因なしに典型的なDICの所見を呈した新生児症例を経験したのを契機に, bilirubinならびに光照射の血小板に与える影響について基礎的な検討を加えた. BilirubinはCaCl2とfibrinogenの存在下にゲル濾過血小板を凝集させるが, その光分解産物は凝集を惹き起こさなかった. 成人と新生児について比較した成績では, 新生児の場合に低濃度のbilirubinにより最大凝集が惹起されることと, 光線療法に対してより強い反応を示すことが見い出された. このことから光線療法は血小板の活性化を介してDICを惹き起こす可能性が示唆される.
  • 中村 征矢, 重松 昭生
    原稿種別: 原著
    1981 年 3 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    SNPを全身麻酔下に日本ザルに静脈投与して低血圧麻酔を行ったところ, サルは重篤な代謝性アシドーシスを呈し, PaCO2の減少, PO2の増加, A-VDO2の減少がみられた. 同時に血中シアン濃度を測定するとシアン量の経時的な増加がみられた. この変化はNaCNを投与した時と非常に酷似しており, 生体内に投与されたSNPよりシアンが放出され, サルはhistotoxic anoxiaを起こしたものと考えられた.
  • 小出 紀, 岩井 重寿, 吉松 搏, 住山 正男, 松田 宏一
    原稿種別: 症例報告
    1981 年 3 巻 2 号 p. 161-171
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    縦隔胚細胞性腫瘍は稀な腫瘍である. 我々は35才男性の縦隔ゼミノーム様腫瘍の一例を経験し, 酵素組織化学的並びに超微形態学的検討を行った. 文献上縦隔ゼミノーム様腫瘍の酵素組織化学的所見の報告はみられない. 腫瘍細胞はアルカリフォスファターゼ強陽性で, そのアイソザイムは腎型に類すると考えた. 一部の細胞に酸フォスファターゼ, β-グルクロニダーゼが陽性で, α-ナフチルアセテートエステラーゼは多くの細胞で陽性であったが, アデノシントリフォスファターゼ, α-ナフチルブチレートエステラーゼは陰性であった. 超微形態学的には, 細胞は一般に楕円形で時に細胞突起がみられ, 核小体の明瞭な類円形核を有し, 細胞小器官は乏しいが多量のグリコーゲンを有し, 一部細胞には有窓層板および重層性粗面小胞体がみられる. 接着装置はみられなかった. 他部に原発する胚細胞腫細胞と相同性の所見を示し, 胸腺腫との鑑別は容易である.
  • 白木 泰子
    原稿種別: 症例報告
    1981 年 3 巻 2 号 p. 173-179
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    急性視神経炎は臨床的には典型的であっても, 確定診断を下すことはむつかしい. 今日, 超音波診断法および眼窩コンピューター断層法は, 視神経炎を積極的に診断しうる方法と考えられている. 特にOCTスキャンは視神経を直接描出するため, 視神経炎のタイプ, 位置, 広がり, 程度などを知る上で非常に役立つ. しかし視神経炎のCT像についての報告は少ない. 特に眼科領域からの報告は本邦では太根(1980)の報告以外にない. 著者は急性視神経炎を1年間に3回発症し, 発症の度に視野欠損の位置が変化し, 多発性硬化症が強く疑われる30才男子の1症例に, EMI 5005スキャナーを用い, 増強法を行わずに, OCTスキャンを行い, 鮮明な急性視神経炎の像を得ることに成切した. その結果, 急性視経炎のCT像は, 1側の眼窩部視神経全走行の著しい拡大の像であることが, 本症例の右眼および左眼で確められた. これは太根が発表した視神経の部分的肥大の像と異なり, 藤谷・他(1979)が報告した視神経膨大の像と同じである. そして幅をました視神経は臨床症状の消褪と共に幅を減じた. 急性視神経炎の診断および経過の観察にOCTスキャンは有効な方法と考える.
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