急性視神経炎は臨床的には典型的であっても, 確定診断を下すことはむつかしい. 今日, 超音波診断法および眼窩コンピューター断層法は, 視神経炎を積極的に診断しうる方法と考えられている. 特にOCTスキャンは視神経を直接描出するため, 視神経炎のタイプ, 位置, 広がり, 程度などを知る上で非常に役立つ. しかし視神経炎のCT像についての報告は少ない. 特に眼科領域からの報告は本邦では太根(1980)の報告以外にない. 著者は急性視神経炎を1年間に3回発症し, 発症の度に視野欠損の位置が変化し, 多発性硬化症が強く疑われる30才男子の1症例に, EMI 5005スキャナーを用い, 増強法を行わずに, OCTスキャンを行い, 鮮明な急性視神経炎の像を得ることに成切した. その結果, 急性視経炎のCT像は, 1側の眼窩部視神経全走行の著しい拡大の像であることが, 本症例の右眼および左眼で確められた. これは太根が発表した視神経の部分的肥大の像と異なり, 藤谷・他(1979)が報告した視神経膨大の像と同じである. そして幅をました視神経は臨床症状の消褪と共に幅を減じた. 急性視神経炎の診断および経過の観察にOCTスキャンは有効な方法と考える.
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