Journal of UOEH
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変異原性物質検出におけるTolC外膜輸送蛋白質変異を持つ大腸菌WP2菌株と持たない大腸菌WP2菌株の感受性の比較
荒木 明宏佐々木 俊明松島 泰次郎
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2008 年 30 巻 2 号 p. 133-145

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抄録
変異原性物質検出におけるTolC外膜輸送蛋白質変異を持つWP2tolC, WP2tolC/pKM101, WP2uvrA, tolC, WP2uvrA, tolC/pKM101菌株と持たないWP2, WP2/pKM101, WP2uvrA, WP2uvrA/pKM101菌株の感受性の比較をプレインキュベーション法で変異原物質の比活性を測定することで実施した. tolC変異菌株はtol/C非変異菌株よりも2-aminoanthracene, 2-nitrofluorene, Glu-P-1, benzo[a]pyrene, mitomycin C, streptonigrin, doxorubicinのような多環およびヘテロ環化合物に対して感度が良かった. 2-Nitrofluoreneの変異原性はtolC非変異菌株WP2, WP2/pKM101, WP2uvrAでは検出できないが, tolC変異菌株WP2tolC, WP2tolC/pKM101, WP2uvrA, tolCで検出することができる. しかしながら, これらのtolC変異菌株はstreptozotocin, Ara-A, cisplatinの変異原性検出には充分な感度を有していなかった. 同様にAra-Aの変異原性はtolC変異菌株であるWP2uvrA, tolC/pKM101では検出できないが, 正常なtolC非変異菌株WP2uvrA/pKM101で検出することができる. TolC外膜輸送蛋白質変異による変異原物質の検出感度の増加効果は感度の悪いWP2菌株において明確であるが, 高感受性のWP2uvrA/pKM101においては明確ではなかった.
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© 2008 産業医科大学
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