Journal of UOEH
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エーテル型リン脂質のTLCデンシトメトリーによる定量
大江 晋司田中 貴浩大神 真美古賀 洋介森井 宏幸
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2008 年 30 巻 3 号 p. 269-278

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抄録

古細菌のエーテル型リン脂質の代謝制御を解析する上で, リン脂質の定量が必要である. 真正細菌と真核生物のエステル型リン脂質の定量法については, モリブデン酸ブルー試薬を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)デンシトメトリー法が確立している. 本研究ではメタン生成古細菌と高度好塩性古細菌の主要エーテル型リン脂質6種類もTLCデンシトメトリー法で迅速に定量できる事を示した. エステル型リン脂質のモル吸光率は脂肪酸の種類や極性基の種類によらずほぼ一定であったと報告されているがエーテル型リン脂質およびセリンを含むエステル型リン脂質のモル吸光率には大きな相違があった. 従って, エーテル型リン脂質をTLCデンシトメトリーで定量するには毎回それぞれの標準物質が必要である. しかし, 従来のTLCのスポットを掻き取りリン定量を行う方法と比べて, このTLCデンシトメトリーでは試料の必要量が1/10で済み, 時間も短縮された.

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© 2008 産業医科大学
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