Journal of UOEH
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FDG-PETで指摘され術前診断に苦慮した非浸潤性乳管癌(low grade DCIS)の一例
鶴留 洋輔勝木 健文小西 鉄巳永田 淳井上 譲永田 貴久柴尾 和徳日暮 愛一郎平田 敬治中山 善文岡本 好司永田 直幹山口 幸二
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2008 年 30 巻 3 号 p. 321-328

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抄録

Fluorine-18 2-deoxy-2-fluoro-D-glucose-Positron Emission Tomography(FDG-PET)で指摘され術前診断に苦慮した低悪性度の非浸潤性乳管癌の一例を経験した. 症例は56歳の女性で左耳介部mucosa-associated lymphoid tissue (MALT)リンパ腫の放射線治療後経過観察中に行ったFDG-PETで早期相より遅延相での左乳腺下部(BD)領域の集積増加を指摘され来院した. 左BD領域にマンモグラフィにて区域性に分布する淡く不明瞭な微小石灰化像と構築の乱れを, 超音波にて境界不明瞭な乳管拡張像を, MRIにて帯状の急峻な増強効果を認めたため, 穿刺吸引細胞診を行いClassVと診断された. しかし針生検で悪性所見を認めず, 確定診断と治療目的で左乳房円状部分切除術を行った. センチネルリンパ節生検では転移を認めず, 病理組織診断ではlow grade ductal carcinoma in situと診断された. 近年FDG-PETで指摘される原発性乳癌が増加傾向にあるが, 高分化で低発育性の癌は偽陰性のことがあり, 本症例の如く早期相より遅延相での集積増加が診断に有効になりうる可能性が示唆された.

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© 2008 産業医科大学
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