抄録
円周が3次元空間に自分自身と交わらないように埋め込まれたものは結び目と呼ばれる. 結び目は位相幾何学的に取り扱うことにより数学的な対象となる. 結び目理論では与えられた結び目がどのように結ばれているか, あるいは実際には結ばれていないかなどを研究する. 結び目は交差の上下の情報を持った結び目図式で表すことができる. そのときに交差の上下を入れ替えたものは一般には別の結び目を表すが, この操作は交差変換と呼ばれる結び目理論における重要な概念である. 本稿では結び目の多重交差変換の一種である強自明性について解説する.