Journal of UOEH
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家族性自然気胸の一例
亀崎 文彦園田 信成小出 真一郎尾辻 豊
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2009 年 31 巻 2 号 p. 167-172

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抄録

症例は30歳男性. 再発性自然気胸による軽度呼吸苦および右胸痛を主訴に日本原子力研究開発機構荒谷台診療所を受診した. 本症例は, これまで右肺の原発性自然気胸を2度発症しており, 胸腔ドレナージ, 胸膜癒着術や外科的ブラ切除術が施行されていた. その他, 母親を除くすべての家族, つまり父親と2人の姉妹もまた再発予防治療を受けたにも関わらず原発性自然気胸を繰り返してきた. この疾患表現型の伝達様式は, 常染色体優性遺伝を示唆していた. 確定診断には遺伝子解析が必要であるが, 現状では確定診断は有効な治療法に結びつかず, 加えて, 本症例は遺伝子解析を希望しなかった. 気胸に対する病因の解明, 診断技術や再発予防治療における進歩は目覚ましいが, この家族性症例は依然として再発性自然気胸に苦しんでいる. 家族性自然気胸の本症例は, 新規治療指針の必要性を強く示唆している.

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© 2009 産業医科大学
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