抄録
日本産赤米, 黒米, 白米それぞれのぬか抽出液中に存在する免疫調節活性についてマウスの免疫細胞の培養システムを用いて分析した. これらのコメぬかのメタノール抽出液はコンカナバリンA(Con A)やリポポリサッカライド(LPS)によるマウス脾臓リンパ球の増殖反応を有意に抑制した. しかし, 同様のリンパ球の培養システムにおける炎症性サイトカインの産生に対する影響を調べたところ, 赤米ぬか抽出液は, Con Aによるインターフェロンγの誘導やLPSによるインターロイキン6の誘導を高めたが, 黒米や白米のぬか抽出液は逆にこれらの炎症性サイトカインの誘導を抑制した. さらにLPSによるマウスのマクロファージ由来の炎症性サイトカインの誘導に対する米ぬか抽出液の影響を調べたところ, 黒米や白米のぬか抽出液はLPSによるインターロイキン1α(IL-1α)や腫瘍壊死因子(TNF-α)の誘導に対する抑制作用を示したが, 赤米のぬか抽出液はIL-1αの誘導に対して促進作用を示した. 以上の実験結果は日本産米ぬかメタノール抽出液中に免疫細胞の増殖反応や機能(サイトカインの産生)に影響をあたえる免疫調節物質が存在することを強く示唆している.