Journal of UOEH
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LDLコレステロール直接法は高コレステロール血症有病率を増加させる : Friedewald計算法との比較
亀崎 文彦園田 信成中田 靖尾辻 豊
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2010 年 32 巻 3 号 p. 211-220

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抄録
わが国では, 特定健診制度の導入以降, 直接法がFriedewald計算法に代わりLDLコレステロール測定法として急速に普及しているが, 臨床診断への影響は不明である. 本研究目的は, 2つの測定法の高コレステロール血症診断への影響を決定することであった. 原子力科学研究所に従事する労働者のうち中性脂肪値が400mg/dl以上の18名を除外した合計1,655名(男性1,451名, 平均44歳 ; 女性204名, 平均38歳)において, 直接法およびFriedewald計算法によりLDLコレステロール値を検討した. 2つの測定法で算出されたLDLコレステロール値は, 強い正相関関係(R2=0.975, P<0.0001)を認めた. 一方, 直接法の平均LDLコレステロール値は5.9mg/dl高く, 対象者の89.1%でFriedewald計算法より高値であった. また, 高コレステロール血症の有病率は, Friedewald計算法(25.1%)より直接法(31.7%)で有意に高かった(P<0.0001). 本研究結果は, 高コレステロール血症の臨床診断・管理決定において測定法を考慮に入れなければならないことを示唆している.
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© 2010 産業医科大学
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