Journal of UOEH
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遺伝子多型と口腔がん
谷山 ゆかり竹内 昌平黒田 嘉紀
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2010 年 32 巻 3 号 p. 221-236

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抄録

高い疾病率や予後不良の点から口腔癌は世界的に重要な問題である. 口腔癌の主な病因は喫煙や飲酒であり, 化学物質の代謝活性は癌感受性に影響をおよぼしていることが示されている. 煙草の煙にはベンゾピレンやニトロサミンなど多くの発がん物質や発がん前駆物質が含まれ, 第1相および第2相酵素によって活性化または解毒される. これらの酵素遺伝子にはいくつかの遺伝子多型が存在し, これらの酵素の機能は遺伝子多型によって修飾される. 一方, がん感受性に関与する遺伝子には, これらの酵素遺伝子以外にもいくつか存在する. 我々はこの論説で口腔癌に関与する遺伝子多型の相互関係について紹介する. 口腔癌に関与する遺伝子多型について多くの論文があるが, 相反する結果も多く, 今後, 発癌物質および遺伝子多型との相互作用を評価するためには, さらなる研究が必要である.

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© 2010 産業医科大学
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