Journal of UOEH
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カーボン製装具の製作状況・特徴および製作現場での産業医学的問題点 -義肢装具士へのアンケート調査より-
兼城 勇子古田 奈美牧野 健一郎和田 太蜂須賀 研二
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2011 年 33 巻 3 号 p. 231-236

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抄録

近年, カーボン製装具が臨床に応用され始めているが, 全国的な製作状況や評価, 製作時の工夫や問題点など実態は明らかではない. カーボン製装具の現状を明らかにする目的で, 日本義肢協会加盟全社(310社)を対象に無記名による調査を行った. 232社から回答があり, 77社でカーボン製装具を取り扱っていた. 52社がカスタムメイドの経験があり, 155社は取り扱いがなかった. カスタムメイドの製作数は829本/5年間であり, 取り扱いや製作には地域差を認め, 1社あたり平均12本/5年間であった. カーボン製装具の利点として軽量, 適合が良い, 外観, 高強度があり, 欠点として高価, 高コスト, 黒色, 製作期間, 高い製作技術が指摘された. また, カーボン繊維の飛散, 掻痒感など健康への影響を懸念する声を認めた. カーボン製装具の全国的な普及には加工しやすい低価格のカーボン素材の開発, 製作技術の向上, カーボン繊維の産業医学的問題の検討も必要である.

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© 2011 産業医科大学
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