抄録
37歳日本人男性, 交通事故を契機に脱毛が出現した. 病理組織学的に毛包周囲の異常角化細胞を認め, 免疫組織学的にはCD8陽性T細胞の毛包への浸潤を認めた. 初診4週間後, 彼は再度交通事故に遭遇した. プレドニゾロン内服とステロイド外用中であったが, 脱毛は汎発性脱毛へと進行した. 治療開始12週間後に頭皮全体に白髪の毳毛が出現し, 脱毛の改善傾向を認めた. 末梢血フローサイトメトリーにて, 脱毛の重症度に応じてInterferon-γ(IFN-γ)産生T helper 1(Th1)細胞やInterleukin-17(IL-17)産生Th17細胞は増加し, IL-4産生Th2細胞は減少することが示された. 脱毛がTh1, Th17細胞の活性化に惹起される可能性が示唆された.