Journal of UOEH
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[報告]
高齢2型糖尿病患者におけるメトホルミンの有用性
元 舞子岡田 洋右森 博子新生 忠司田中 良哉
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2013 年 35 巻 3 号 p. 207-212

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抄録

日本においてもメトホルミンの高用量使用(最高用量2,250 mg)が2010年5月10日から可能となったが,高齢2型糖尿病患者に対する実地臨床でのメトホルミンの有効性と安全性に関する情報はいまだ十分ではなく,今回後ろ向きに検討した.メトホルミンを使用した2型糖尿病患者98例をⅠ群65歳未満(59人)とⅡ群65歳以上(39人)の2群に分け,12週後の糖化ヘモグロビン(HbA1c)の変化を主要評価項目とした.また安全性に関しては,低血糖の頻度,有害事象の有無で評価した.平均投与量はⅠ群で690.5 mg,Ⅱ群636.4 mg,HbA1cはⅠ群で-0.5%,Ⅱ群で-0.9%と両群有意に改善を認めたが,変化率に群間差はなかった.両群とも低血糖はなく肝,腎機能の悪化も認めなかった.メトホルミンは年齢を問わず,高齢者でも有効かつ安全に使用可能である.今後はメトホルミンの使用量とともに,安全に使用するための血清クレアチニン(Cre)値,推定糸球体濾過率(eGFR)値の設定に関して,さらに前向きに検討する必要がある.

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© 2013 産業医科大学
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