抄録
亜鉛含有防錆剤に関連した急性呼吸窮迫症候群を呈した2例を報告する.症例1は,亜鉛を主成分とする防錆剤で加工された鉄板をアセチレンガスバーナーによって整形作業(歪み取り)している最中に急性呼吸窮迫症候群を生じていた.症例2は,亜鉛を多く含んだ防錆剤をエアレスコンプレッサーにて塗布する作業中に急性呼吸窮迫症候群が発生していた.両者ともに船倉内で防護具の使用を怠り作業にあたっていたことから,亜鉛ヒュームおよび亜鉛粉末の吸入が発症要因と考えた.本2症例の臨床経過は,金属熱様の症状とともに急速進行性の重篤な呼吸不全を呈し人工呼吸管理を必要としたが,その後の治療経過は良好であるなど類似点が多くみられた.