Journal of UOEH
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前立腺癌進展におけるアンドロゲン-アンドロゲン受容体の役割
藤本 直浩
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2016 年 38 巻 2 号 p. 129-138

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抄録
Prostate-specific antigen(PSA)スクリーニングの導入により,前立腺癌は早期に発見されるようになったが,10から20%は診断時にすでに進行癌である.前立腺癌はアンドロゲン感受性癌であり,多くの患者において初期治療としてのアンドロゲン除去療法(ADT)が有効である.しかし,1~2年で多くの進行癌患者は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)となる.アンドロゲン依存性癌からCRPCに進行する機序としては多くの機序が報告されているが,アンドロゲン-アンドロゲン受容体(AR)の経路がもっとも重要である.これにはARの遺伝子変異,発現増強,変異型ARの出現,AR共役因子の発現増強,アンドロゲンの産生増加などがある.ホルモン剤であるアビラテロン,エンザルタミド,抗癌剤であるカバジタキセルなどのCRPCに対する新規薬剤が開発され,臨床試験においてCRPC患者の生存期間の延長が示された.しかし,そのような新規薬剤に対しても前立腺癌は抵抗性を獲得して進行し,これらの新規薬剤による生存の延長期間は限られている.アンドロゲン-AR経路は新規薬剤に対する抵抗性においても中心的な役割を担っている.CRPC患者の予後を改善するためには,有効な薬剤および治療法の開発,さらにそれぞれの患者に対してもっとも適切な治療法を選択するためのバイオマーカーの開発などの精力的な研究が必要である.CRPCの生物学的特徴を理解したうえでの臨床試験の蓄積により予後の改善が可能であろうと期待される.本総説では,前立腺癌の治療抵抗性とCRPC治療の今後について述べる.
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© 2016 産業医科大学
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