看護師および准看護師は,看護専門職者としての教育を受けている.看護専門職者は,看護補助者に仕事を手伝ってもらうことで,専門性の高い職務に集中できる.もし看護専門職者が看護補助者に対して不適切な態度をとった場合,看護補助者は,力の及ぶ限り看護専門職者を助けたいと思う気持ちは生じ難くなりえる.我々は,看護補助者の看護専門職者に対する心象を調査し,その後,看護補助者のどのような心象が,看護専門職者に貢献したい思いに関連しているのか検討した.研究デザインは横断研究であった.25ヶ所の中小規模病院(55床から458床)が,この研究に参加した.解析対象は642名の看護補助者であった(男性96名,女性546名).看護専門職者の態度に関する看護補助者の心象を構成する因子を抽出するために因子分析を行った.「看護専門職者に貢献したい思い」に関する予測因子を探る目的で,重回帰分析を行った.因子分析の結果,第1因子(看護専門職者の模範となる行動),第2因子(看護補助者へのマナー),第3因子(看護補助者の仕事への情熱に対する尊重),第4因子(看護補助者の仕事への尊重),第5因子(看護補助者の仕事をする能力の向上)の5つの因子が抽出された.「看護専門職者に貢献したい思い」に対して有意に関連していた因子は,「看護専門職者の模範となる行動」,「看護補助者へのマナー」,「看護補助者の仕事への情熱に対する尊重」であった.これら第1因子から第3因子は,適切な人間関係を構築する時の基本的な原則である.看護補助者から最大限の協力を得られるためにも,看護専門職者は,日々の業務の中で,これらの基本に留意する必要がある.
抄録全体を表示