Journal of UOEH
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一般科看護師が対応困難と感じる精神症状と精神障害者の入院に対する拒否感との関連
大達 亮 矢田 浩紀山根 俊恵
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2016 年 38 巻 4 号 p. 317-324

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抄録

一般科看護師が対応困難と感じる精神症状に,精神障害者の入院に対する看護師の拒否感がどのように影響しているかを検討した.調査対象者はA総合病院の一般科看護師150名に質問紙調査を行い,すべての質問項目に欠損値がなかった86名を対象とした.看護師が対応困難と感じる精神症状に関する質問項目の因子分析を行った結果,「精神病様症状」と「神経症様症状」の2因子が統計的に抽出された.精神障害者の一般科入院に対する各拒否感の差に2因子を比較した結果,精神障害者の入院に対して拒否感が強いことは,精神症状に対応する困難さと関連していた.「精神病様症状」は統合失調症に加えてんかんやせん妄などが,「神経症様症状」は気分障害に加えてパーソナリティ障害やそれに合併するうつ状態などが症状の背景にあることが推察された.この2因子に起因する症状は「対応の困難さ」と「症状を判別する困難」の2つの困難さがあり,精神障害者に対してどのように対応すべきか一般科看護師は確信を持ちにくい中で看護をしていると考えられた.また「精神病様症状」によって業務量が増し,「神経症様症状」からは通常業務以上の感情労働により心的負担が大きくなることが推察され,一般科看護師への精神障害についての相談支援体制の整備・拡充が求められた.

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© 2016 産業医科大学
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