Journal of UOEH
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[総説]
大災害における産業保健の課題:世界貿易センタービルテロ事件と福島第一原子力発電所事故における産業保健上の課題に関する文献の比較による考察
豊田 裕之 森 晃爾
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2017 年 39 巻 2 号 p. 153-159

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抄録

大規模災害が発生した際,災害対応を行う労働者は,日常業務とは異なる健康障害要因に曝される恐れがある.そのような課題に対して適切な準備や対応を行うためには,過去の大災害の知見を参考にすることが有効と考えられるが,公開されている情報は少ないことが現状であるので,大規模災害発生時の労働衛生活動の在り方を検討するために,関連情報が比較的多く報告されている世界貿易センター倒壊テロ事件(WTCテロ)と福島第一原子力発電所事故(第一原発事故)を対象に文献上の知見について,比較検討を行った.WTCテロについて7編の文献が抽出され,1. 労働衛生管理を含む緊急時体制に関連したもの,2. 健康影響や労働衛生面の改善・予防に関連したもの,3. 健康影響の緩和を目的としたケアに関連したものに分類された.一方,第一原発事故については,先行レビューで整理された文献を用いた.大規模災害発生時に対応する労働者の健康確保のためには,防災基本計画に関連した諸規程に労働衛生に関する規定を盛り込むとともに,長期にわたって支援を行うことを前提とした実務的な支援機能,災害対応に関わる可能性のある労働者に対するトレーニングの仕組み,健康影響の緩和を目的としたケア体制などを構築することが必要と考えられた.

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© 2017 産業医科大学
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