抄録
本研究は精神科看護師の自己効力感に関連する要因を明らかにするために行った,精神科病院に勤務する16名の精神科看護師を対象に実施した自由記述式質問紙の回答から自己効力感を感じる・低下させる要因を,質的記述的に分析した.自己効力感を感じる要因としては,24コードから8カテゴリ,A1.看護活用の可能性,A2.看護判断,A3.精神症状の改善,A4.患者のポジティブな姿,A5.患者との信頼関係の構築,A6.他看護師との信頼関係の構築,A7.業務の計画的な進行,A8.チーム医療の実践が抽出された.自己効力感を低下させる要因としては,25コードが10カテゴリ,B1.コミュニケーション不全,B2.ケアの不確実性,B3.精神症状の再発,B4.患者からの威圧感,B5.多忙による業務への不全感,B6.自己研鑽の困難性,B7.看護師としての役割喪失感,B8.体力不足,B9.機械的な看護業務,B10.失敗による看護観の揺らぎ,に集約された.これらは精神科看護師の自己効力感に介入が必要な視点である.