2017 年 39 巻 4 号 p. 299-308
中堅看護師の新人看護師への教育的役割行動と自己効力感の関係を明らかにすることを目的とした.中堅看護師の新人看護師への教育的役割行動はキャリアラダーや先行文献により抽出された13項目の行動とした.中堅看護師の新人看護師への13項目の教育的役割行動の実施に伴う中堅看護師の自己効力感の関係について,中堅看護師310名を対象に質問紙調査を実施し,spearmanの順位相関係数の検定,Mann-WhitneyのU検定またはKruskal-Wallis検定にて分析した結果,対象者の属性として過去のプリセプター(新人看護職員1人に対して決められた経験のある先輩看護職員)経験回数が4回以上の中堅看護師は,3回以下の中堅看護師より自己効力感が有意に高い行動は4つ(1.援助方法を指導する時に,具体的方法を示す,7.新人看護師に受容的に関わる,11.中堅看護師自身の看護実践能力の向上に努める,12.組織内の人間関係を調整する)のみとなり,看護師の通算の経験年数や当該部署の勤務年数とは関連がなかった.教育的役割行動の実施と自己効力感との関連は,13項目すべての教育的役割行動において, spearmanの順位相関係数が0.5~0.7と有意な結果であり,今回示した13項目の中堅看護師の新人看護師への教育的役割行動に,高い自己効力感を持つことは役割行動の実施に繋がると考えられる.また,中堅看護師の中でも単に経験があることで,役割行動がとれる,負担感が少ないと判断することなく,経験に関わらず平等な支援が必要であることが示唆された.