Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
2型糖尿病患者における半減期の異なる2種類のdipeptidyl peptidase 4阻害薬テネリグリプチンとシタグリプチンの血糖変動およびGLP-1に対する効果の比較検討
黒住 旭岡田 洋右須貝 彗鳥本 桂一田中 良哉
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 40 巻 1 号 p. 1-9

詳細
抄録

今回我々は,日本人2型糖尿病患者において,半減期の異なるdipeptidyl peptidase 4 (DPP4) 阻害薬であるテネリグリプチンとシタグリプチンによる血糖変動とglucagon like peptide-1 (GLP-1) 分泌に対する効果に関して検討した.14名の薬剤未使用2型糖尿病患者をテネリグリプチン20 mg先行群 (7名) もしくはシタグリプチン50 mg 先行群 (7名) へ無作為に割り付けクロスオーバーで7日間ずつ内服した.食事負荷試験は夕食時に薬剤なし,それぞれのDPP4阻害薬内服下で施行した.各薬剤の血糖変動に対する効果は,continuous glucose monitoring (CGM) を用いて評価した.主要評価項目である夕食後最大血糖値は2群間で有意差は認めなかった.副次評価項目である夕食後18:00-24:00における血糖値140 mg/dl以上のarea under the curv (eAUC) は2群間で有意差は認めなかったが,夕食後20:00-24:00における血糖値140 mg/dl以上のAUCはテネリグリプチンの方が有意にコントロール良好であった (P = 0.048).また食事負荷30分後のGLP-1はテネリグリプチンの方が有意に高値であった (P = 0.030).数例で無症候性の低血糖を認めたが,両薬剤とも重大な有害事象は認めなかった.1日1回内服のテネリグリプチンは,食事負荷試験において20:00-24:00における血糖値140 mg/dl以上のAUCを改善させ,活性型GLP-1を増加することが明らかとなった.

著者関連情報
© 2018 産業医科大学
次の記事
feedback
Top