Journal of UOEH
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妻または母親役割を持つ看護師の精神健康度に関連する要因およびストレス対処能力-結婚,出産,育児による離職経験の有無別の検討
岡田 なぎさ 中田 光紀中野 正博酒井 久美子鷹居 樹八子児玉 裕美小林 敏生
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2018 年 40 巻 1 号 p. 53-63

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抄録

看護職の主な離職理由として結婚,出産,育児などが報告されているが,これらのライフイベントを経験した妻または母親役割を持つ女性看護師の精神健康度やその関連要因は十分に検討されていない.本研究では,妻または母親役割を持つ看護師の精神健康度と関連要因について,結婚,出産,育児による離職経験の有無別に検討することを目的とした.福岡県内の200床以上の総合病院に勤務する女性看護師763人に質問紙調査を実施し,分析対象の108人について,結婚,出産,育児による離職経験なし群と結婚,出産,育児による離職経験あり群の2群に分けて分析した.質問紙は,属性,日本版The General Health Questionnaire(GHQ)28,Sense of Coherence(SOC)スケール(13項目版),職業性ストレス簡易調査票,看護師の職務満足度の尺度で構成した.結果は,分析対象者全体は一般女性より精神健康度が低く,離職経験がない人は離職経験がある人よりも精神健康度が高い人が多く,SOCの「把握可能感」が高かった.さらにGHQ総得点を目的変数とした重回帰分析の結果,離職なし群は「把握可能感」のみが関連していたのに対し,離職あり群はサポート,仕事や生活の満足度および仕事の「ストレス要因」が関連していた.以上より,妻または母親役割を持つ看護師の精神健康度の維持・向上には,サポートや満足感の向上やストレス要因の低減に加えて,SOCの「把握可能感」の維持・向上が影響することが示された.

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© 2018 産業医科大学
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