Journal of UOEH
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呼吸器系における六価クロムの発癌リスク
矢寺 和博森本 泰夫上野 晋野口 真吾川口 貴子田中 文啓鈴木 秀明東 敏昭
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2018 年 40 巻 2 号 p. 157-172

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抄録

六価クロム化合物は,呼吸器系における発癌物質として認識され,特に特定の職業環境下では肺や鼻,鼻腔の癌を引き起こす.クロム(Ⅵ)含有粒子や塵および煙の吸入曝露は,クロム生成,メッキ,クロム含有金属や合金の溶接,電気メッキ,クロム含有顔料や塗料などのクロム関連職業環境において,一般的に生じる.クロム化合物に関する疫学調査では,クロム(Ⅵ)曝露と肺癌による死亡率との間に強い関連があり,また,鼻や鼻腔の癌との間にも関連があることが示されている.鼻の炎症や潰瘍および鼻中隔の穿孔,鼻甲介の鬱血や肥大などの鼻症状は,クロム(Ⅵ)曝露の職歴を有する人において,肺癌や鼻・鼻腔癌の早期診断にとって重要な兆候である.職場におけるクロム(Ⅵ)の曝露は,特にクロム化合物を扱う比較的小規模の企業において肺癌や鼻・鼻腔癌の原因として深刻な問題となる.それゆえ,労働者の適切な保護はクロム化合物への曝露を伴う職業においては考慮されるべきである.

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© 2018 産業医科大学
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