Journal of UOEH
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心臓の発達と病態におけるグリコーゲン合成酵素キナーゼ-3(GSK-3)の役割
高橋 富美
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2018 年 40 巻 2 号 p. 147-156

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抄録
グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3(GSK-3)は細胞質に存在するセリン/スレオニンリン酸化酵素である.この酵素は細胞増殖,幹細胞再生,アポトーシス,発達などに重要な役割を果たすさまざまなシグナル伝達経路を通じて,多彩な細胞機能を調節する分子として知られている.GSK-3は生体内に広く分布しているが,心臓の形成や心筋細胞の増殖コントロールを通じて,心臓の発達に非常に重要な役割を果たしている.さらに,GSK-3は心肥大や心臓の線維化においても重要な調節因子であることが明らかとなってきた.これらのことから,GSK-3は心疾患をターゲットとした新薬開発の標的分子として期待されている.この総説では,GSK-3のシグナル伝達経路や心臓における役割を概説し,この酵素をターゲットとした新薬開発の可能性を論じたい.
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© 2018 産業医科大学
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