抄録
米国・ワシントン州における医療安全ならびに医師再教育制度を調査し現状を報告する.ワシントン州の医療安全は,各医療機関内の医療過誤報告ならびに原因究明・再発防止対策,行政区分管轄の死因究明,州政府管轄の医師免許管理から構成され,それぞれ制度として各医療機関内のrisk manager (RM),州内自治体のmedical examiner (ME),州政府のmedical quality assurance commission (MQAC) によって運用されている.RM,ME,MQACの管轄はお互いに分離,独立しており,担当者の職務分掌は明瞭であり,機関間の連携はまったくない.医療過誤に対する調査も,合同調査といった一元的な方法でなく,またお互いが共有する情報は診療録と死亡診断書のみである.医師再教育を目的とするプログラムはワシントン州内には存在せず,カリフォルニア大学サンディエゴ校に委託している.全米レベルでも十分な医師再教育プログラムを提供できる施設は2か所と極めて不足している.米国・ワシントン州の医療安全は医療の質の確保と患者権利擁護の視点から医師免許を管理・運用している点が極めて重要である.