Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
Colles骨折に対する保存治療における矯正損失の予測因子としてのX線学的検討
善家 雄吉 古川 佳世子古川 英樹前川 和道田島 貴文山中 芳亮平澤 英幸目貫 邦隆酒井 昭典
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 41 巻 2 号 p. 139-144

詳細
抄録

中高年者の骨脆弱性を起因とするColles骨折(背側転位型橈骨遠位端骨折)は一般的な外傷であり,多くの整形外科医により治療されている.なかでも掌側ロッキングプレートによる内固定が標準的治療法であるが,近年合併症例の報告も増加している.本研究の目的は,保存的に治療されたColles骨折患者におけるX線パラメータの経時的変化を分析し,骨折タイプがこれらの変化に影響を与えるかどうかを調査することである.本研究は2つの診療所で行われ,Colles骨折を伴う60症例(男性13,女性47,平均年齢72.5歳(55〜96歳)を対象とした.平均経過観察期間は,4.6ヶ月(1.5 − 12ヶ月)であった.レントゲン画像上の受傷時の損傷形態は,髄内型[n = 15],解剖型[n = 39],髄外型[n = 2],不明[n = 4]であった.まず,非観血的に整復固定を行い,その後,キャスト固定を4週間継続した.整復直後と最終経過観察時の矯正損失は,レントゲン画像における,掌側傾斜(PT),橈側傾斜(RI),および尺骨偏位(UV)を用いた.整復直後の損傷形態は,髄内型[n = 11],解剖型[n = 42],髄外型[n = 7]であった.UVによる矯正損失は,整復直後に髄内型症例の方が,髄外型および解剖型症例よりも有意に大きかった(P = 0.012).整復直後から最終経過観察時までのUVの矯正損失は,髄内型で有意に大きかったことより,保存的治療を行う際の髄内型症例に対しては,手術治療を含め再整復の獲得などの代替治療を検討する余地がある.

著者関連情報
© 2019 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top