Journal of UOEH
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CT上肺癌との鑑別が困難であった肺原発MALTリンパ腫の2切除例
西澤 夏將 花桐 武志小山 倫太郎芦刈 周平
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2019 年 41 巻 2 号 p. 225-230

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抄録

症例1: 81歳男性,胸部レントゲンでの結節影を指摘され紹介となった.Computed tomograghy (CT)で右肺中葉に長径1.5cmの結節を認め,気管支鏡検査で悪性所見を得られなかったものの肺癌を疑い手術を行った.部分切除による術中迅速病理診断が困難であったため最初から胸腔鏡下右中葉切除と縦隔リンパ節郭清を行った.白色充実性の30×10×10 mmの結節を認め,病理学的に小~中型のリンパ球増殖を認め,CD20/CD79a陽性,CD10/Cyclin D1陰性からmucosa-associated lymphoid tissue (MALT)リンパ腫と診断した.症例2: 67歳女性,健診の胸部レントゲン,CTで右上葉の結節を指摘された.1年間経過観察し変化を認めなかったものの,本人が切除を希望したため手術を行った.胸腔鏡下右上葉部分切除を行い,迅速病理診断でリンパ腫または炎症性変化の診断を得た.白色充実性の25×25×16 mmの結節を認め,病理学的に小~中型のリンパ球増殖を認め,CD20/CD79a陽性,CD10/Cyclin D1陰性からMALTリンパ腫と診断した.肺原発MALTリンパ腫はCT上多彩な陰影を呈し肺癌や他の炎症性疾患との鑑別が困難である.また早期であれば手術や放射線などの局所治療のみでコントロール可能であるが,手術を行う場合の術式選択について明らかなコンセンサスは存在せず,今後の症例集積が待たれる.

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