Journal of UOEH
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自動車生産工場における慢性騒音にさらされた労働者の騒音の不快度と認知能力の関係
アリモハンマディ イラジ カンラシュ ファフラディン アフマディアボルガセミ ジャミレヴォスギ シャラムラーマニ カゼムチャラク モハマド ホセイン
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2019 年 41 巻 4 号 p. 375-385

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抄録

騒音にさらされている人々の主な不満には,鬱憤や不快感,精神状態の変化があり,これらは労働者の集中と正確さに影響を与える心理的影響の一つである.この研究は,慢性的な騒音にさらされた労働者の不快感と認知能力の関係を検討するために実施された.これは,自動車会社の労働者を対象とした記述分析的研究である.この研究では,騒音にさらされた300人の労働者を,管理・事務(150人)と生産(150人)の2つのグループに分けた.コンピューターによるロンドン塔課題とストループの心理検査を使用して労働者の認知状態を評価し,1から11の番号付けした質問からなる質問紙を使用して不快度の程度を評価した.労働者の認知能力と不快度には有意な相関があった(P値<0.001).線形回帰の結果においては,認知能力と音の強さとの間に有意な関連がみられた.一方労働者の不快度は,ストループ検査の誤回答数,未回答数,および正解数のみと有意な関係があることが示された(P値<0.001).我々は,職場環境での慢性的な騒音への曝露は職業上の不快感をもたらし,その結果,認知障害を引き起こし,エラーのリスクを高める可能性があると結論付けた.この関連をより具体的に調査するには,さらなる研究が必要である.

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© 2019 産業医科大学
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