Journal of UOEH
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ステロイド内服下に多発脳脊髄病変で再発し,重篤な神経障害を残したNeuromyelitis Optica Spectrum Disordersの1例
植本 優里白石 渉 藤木 亮輔古田 興之介
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2021 年 43 巻 2 号 p. 255-261

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抄録

症例は59歳,女性である.来院の2年前に視神経炎を生じ加療され,その際に抗AQP4抗体陽性を指摘された.脳脊髄病変は認めず,Neuromyelitis optica spectrum disorders (NMOSD)の診断でPSL 5 mg/日の内服を2年間継続していた.X日に腰痛と尿閉が出現し前医に入院となった.X+1日に意識障害と対麻痺が出現し,当院に救急搬送となった.意識はJCS 2桁で項部硬直を認め,対麻痺と尿閉を認めた.髄液検査で細胞数1,232 /μl,単核球優位の細胞数増多を認めた.頭部MRI検査で脳室周囲と脳梁に多発病変を認め,脊髄MRIでC2からTh5までの長大病変を認めた.NMOSDの再燃と診断し,ステロイドパルス療法を開始,その後プレドニゾロン 1 mg/kg/日の後療法を行った.しかし症状は進行し,四肢麻痺,昏睡状態となり,頭部MRIで脳室周囲の深部白質や大脳脚に新規病巣を認めた.2回目のステロイドパルスに単純血漿交換療法を追加し,徐々に意識状態は改善,左上肢の自発運動が出現したが,重篤な三肢麻痺が残存した.本症例はステロイド内服中にも関わらず,多発脳脊髄病変で再発した重症のNMOSDであった.ステロイドパルス後も疾患の進行を認め,血漿交換療法が有効であり,本症例の病態について文献的考察を交えて報告する.

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