Journal of UOEH
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重複脳底動脈 -Duplication of Basilar Artery-の1例
太田 浩嗣 梅村 武部近藤 弘久山本 淳考
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2021 年 43 巻 4 号 p. 455-458

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抄録

重複脳底動脈(Duplication of Basilar artery)は,posterior longitudinal neural arteries (PLNA)が癒合せずに残存した稀な破格である.今回,重複脳底動脈の1例を経験し,その発生過程について考察した.症例は71歳男性.黒内障発作精査にて,magnetic resonance imaging(MRI)上脳幹の前で脳底動脈と縦走する血管を認め,右側は右椎骨動脈よりつながっていたため,重複脳底動脈と診断した.症状とは関連がないため,外来で経過を追っている.重複脳底動脈の1例を経験したが,過去の脳底動脈窓形成の報告の中には重複脳底動脈も含まれて,実際にはもっと多くの症例があるものと思われ,その診断や鑑別にあたっては注意が必要である.また,重複脳底動脈は,その灌流領域の循環動態を安定させた結果,発生したものと考えた.

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