Journal of UOEH
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ロボット支援下手術におけるコンソール開始までの時間短縮の工夫とその成果
星野 香 栗田 智子遠山 篤史金城 泰幸西村 和朗原田 大史植田 多恵子鏡 誠治吉野 潔松浦 祐介
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2024 年 46 巻 1 号 p. 37-43

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抄録
ロボット支援下手術は,拡大視・立体視・多関節機能を有する鉗子などにより精密な手術が可能であるが,特有の体位セッティング・ポート配置・ドッキングなどの操作が必要で,手術時間や麻酔時間の延長につながる.当院では(1)体位を低位砕石位から開脚位へ変更,(2)臍のカニューラを安定して保持するためにHasson coneを取り付け,(3)カニューラのオブチュレータ(内筒)をブラントオブチュレータからブレードレスオブチュレータに変更,(4)チームを固定,(5)婦人科全員で定期的にドッキングのトレーニングを施行することにより,コンソール開始までの時間短縮を図ってきた.本研究ではその成果を検討した.対象は産業医科大学病院で2019年4月から2022年7月までに産婦人科で良性子宮疾患および子宮体癌IA期に対してロボット支援下子宮全摘出術を行った全77例とし,症例1-40の前半群と,症例41-77の後半群とで,コンソール開始までの所要時間を比較した.結果は,体位セッティング時間・ポート配置時間・ドッキング時間とも,前半群と比較して後半群で有意に時間短縮した.前半群では挿管終了からコンソール開始までに91.5分(53-131分)所要していたのに対し,後半群では59分(37-126分)であった.使用機材の適切な選択やチーム教育により,コンソール開始までの時間は短縮可能である.
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© 2024 産業医科大学

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