Journal of UOEH
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病院の平均在院日数について
江川 寛
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1984 年 6 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

平均在院日数は本来, 病院病床管理の適切な指標の一つの指標として用いられるべき重要なものである. 著者は1973年に在京の大学病院, 公的病院, 個人病院の三つを選び, 同年間に退院した産科を除く患者総数1094人を対象にどのような種類の患者がどのように一般病院病床を利用しているであろうか施設により, また診療科の特性や患者の疾病構造によって病床の利用状況は異なるであろうかなど施設単位にその利用状況について質的関係から観察を行った. さらに1981年に北九州市の医療施設, ならびに産業医科大学のばあいは1979年から1981年の3年間についてICD傷病大分類別に疾病構造別の利用状況を加え同様の質的分析を試みたが10年前と同様の結果をみた. その結果から我が国において平均在院日数は必ずしも病院病床管理のための適切な指標とはなりえないと判断されたので, 米国において平均在院日数が適切な測度として使用できる背景はなにか, 我が国のばあいとの違いを中心に医療施設体系から考察し, 併せて我が国の病院における在院患者と在院日数の関係から妥当な指標となるものは何かについて考究した. さらにまた, 平均在院日数が我が国において妥当な測度となるためには, 地域医療, 特に施設計画の具体的推進こそが基本的要件であることを明らかにした.

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© 1984 産業医科大学
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