口腔外科臨床において, しばしば遭遇する比較的大きな粘膜欠損に対し, 暫間被覆材として凍結乾燥豚皮(LPS)を応用した10例を示した. いずれの症例も良好な治療経過をたどり, 特に術後疼痛の緩和, 食片など外来刺激に対する保護包帯としての有用性が評価された. また, 脆弱なLPSの縫合には連続縫合を工夫した. この方法は従来のtie-over法に比べ, 口腔衛生状態が改善され, 患者の不快感も減少した. 動物実験は日本白色家兎を用い, 両側頬粘膜に径約1cmの円形創を作り, 右側を対照とした. 左側は結節縫合にtie-overを加えた群と連続縫合のみの2群に分けてLPSを固定した. 両群の治癒像に差はみられなかった. なお, 対照群とLPS被覆群の上皮化までの期間の比較では対照群がより早い上皮化を示した.